2022/01/28
冬でも暖かい家で暮らすには【換気編】
こんにちは!
安心して住み継げる家を造る実践者の建築工房いろはの大島です。
今回も快適に暮らし続けるために大事なお家の性能についてお話したいと思います。
別の記事で【断熱性能】【気密性能】のお話をさせて頂きました。
そちらが気になる方は是非コチラの回もご参考になさってください。
そして今回お伝えするのが【換気性能】についてです。
【断熱性能】【気密性能】【換気性能】は三位一体
【断熱性能】【気密性能】とも密接にかかわりがあり重要なのが【換気性能】です。いわば三位一体といえ、どの性能が欠けていたり、バランスが悪かったりしてもお家全体の快適性がイマイチなお家になってしまします。例えば【気密性能】が悪いお家で部屋の空気を綺麗にするために換気扇をガンガン回しても換気は一向にされません。側面に穴の開いたストローでジュースを飲もうとするようなものです。
モデルハウスに来て頂くお客様から、よく逆のことを言われることがあります。
「これだけ気密性能が高いと臭いとかこもるんじゃないですか?」と。
事実は全くの逆なのです。私たちが作っている気密性能がC値0.2c㎡/㎡クラスのお家ですと、換気扇の穴以外にほぼ隙間がありません。ですから小さなファンで効率的に綺麗な空気と入れ替えることが出来るので臭い残りもありません。
逆に気密の低い一般住宅は家中に隙間が非規則に存在しますので、強力なファンで強制的に臭いを排出しないといけないことになります。穴の開いたストローで力いっぱい吸い込んでもジュースはなかなか飲めないのと同じ現象です。
焼き肉をしたら2・3日臭いが残ってしまうのはカーテンなどの布製品に臭いがついてしまっているせいもあります。しかし実際は気密性が低いため換気扇をいくら回してもきれいに空気の入れ替えが出来ていないのです。 その結果、部屋の角に臭いが残ってしまうのも原因の一つです。
では逆に、気密性能の高いお家はホントにちゃんと換気出来ているの?という疑問が出てきますよね? ご安心ください! 何でも実証実験したい私が弊社のモデルハウスにて体を張った実験を行って実証済みです。
二酸化炭素濃度(以後CO2濃度)の低減速度を計測して、換気性能を実験してみました。弊社モデルハウスの換気性能は2時間に1回お家の空気が入れ替わる換気能力を持っています。ですのでこのように作為的にCO2濃度を上げても、2時間たてば通常時のCO2濃度に戻り2時間できれいに空気が入れ替わったことが分かるはずです。
因みに高気密住宅でガスや灯油など燃焼系の暖房は絶対に禁止です。ビル法では換気設備を稼働させてCO2濃度は1000ppmまでに保つことが法律で決まっています。個人差はありますが3000ppmを超えるとめまいや吐き気を起こす方もおられます。
通常時はCO2濃度500ppmほどのモデルハウスの部屋に、灯油ストーブを持ち込みわざとCO2濃度を2000ppm以上まで上昇させ、ファンヒーター停止後どのくらいで元のCO2濃度まで低減するかを計測しました。
二酸化炭素濃度の低減速度の計測結果
実験開始後30分でCO2濃度が2000ppmを超えました! 隙間がないのでCO2濃度が上昇するのもめちゃくちゃ早いです!そこからファンヒーターを停止させて換気をスタート。1時間で1500ppmまでストンと下がりました。しかしここからCO2濃度の下降線が緩やかになり、通常の500ppm近辺になるまで4時間ほど必要でした。
あれ?ちゃんと換気できてない?!と不安に思っていろいろ原因を調べたところ、換気している外の綺麗な空気にも500ppm程度のCO2が含まれているため、家の中のCO2濃度が通常時の500ppm近辺になると数値の下がりが遅くなることが分かりました。
後日換気メーカーさんとデータの共有をして検討した結果、換気性能としては素晴らしい結果だったことが分かり一安心でした。
高気密高性能な家を実現させるには実験・実証が必須
今からお家を考えられている方でしたら、新築住宅には2時間に1回、家中の空気を入れ替えることが法律で決まっています。
しかし法律で決まっているのは、お家全体の空気の量(=体積)を計算して換気扇の排気能力で割って、換気扇がいくつ必要かみたいな簡単なものなので、実際にちゃんと換気できているかはかなりグレーな部分が多いいのです。ですのでしっかりと実験・実証することがとても重要だと思っております。
その他に換気にはもう一つ重要な熱ロスを低減するエコな役割もありますので、また別の機会にお話しできたらと思います。
この記事は建築工房いろは代表取締役大島進也が書いています。
大島進也はこんな人→大島進也のプロフィールはこちら
最後まで読んで頂きありがとうございます!